解説書インプレッション (main)
わたしが解説書をチェックして思ったことを勝手に書いています。一人でやってるクロスレビューみたいなものですので、評価を参考にするときは、評者(かぶら屋)の好みや価値観と、読むかたの価値観との相対的なところで判断してください。(当たり前ですが、念のため。)
最近の本をこのページに載せています。もっと前に出たものについてはこちら。
一週間でマスターする Painter IX
編集中。
- 著者 ― 大賀葉子。サイトは 【 Ogre's 】
- 出版社 ― 【 毎日コミュニケーションズ 】
- 2005 年 7 月 26 日発行、定価(本体) 2,700 円、287 ページ。
- シリーズとしている出ている『一週間でマスターする Painter n』(n は任意の数)の Painter IX 版。大賀さんが Painter 7 からシリーズ担当で、Painter の定番解説書として定着した印象がある。あまりにも多様な顔を持ち、「一週間で」という枠にはまりにくい Painter の解説だが、大賀さんの経験値でかなりうまくまとまっている。
- 基本的な操作の解説から始まっているので、パソコンやグラフィックソフトに慣れていなくても、なんとか Painter を使えるところまで持っていってくれるはず。何か他のグラフィックソフトを使ったことがあるとか、ヘルプを自分で読む忍耐力がある場合は必要ない部分ではあるが、Painter IX は「ユーザーガイド」が印刷物としては添付されていないので、要点だけをまとめた解説書は、特に初めて使う人には便利。(Painter IX には、ユーザーガイドではなく「Painter ハンドブック」という、ごく基本的な操作+プロの作例チュートリアル集が付属している。)
- 「一週間で」とあるが、1 日ぶんの解説を実際にやってみたり、ちゃんと理解できるまで読み返していると、1 日では終わらないと思う。いっぽう、この 1 冊をきちんと学習しても、まだ Painter の全体像はつかめない。当然ながら、紙数が足りずに言及できない機能があるし、それぞれの機能を掘り下げている余裕もない。Painter の解説は、このフィルタをかければこんな画像ができる、といった、サンプル集のような簡潔な羅列からは、ブラシを中心とした機能の本質が伝えられないので、解説書の構成はとてもむずかしいと思う。
- 「一週間で」というタイトルは初心者用に見えるが、かなり突っ込んだ話題も取り扱っているので、中級者でも「それは知らなかった」(マニュアルにあっても気がついていなかった)ということもあると思う。このシリーズの昔のもの(Painter 2 対応版がたまたま手元にある)と比較すると、たいへんレベルが上がっている。
- Painter の機能で「何が重要か・何が基本か」というのはユーザーによって違ってくるとは思うが、そうは言っても取り上げている項目に納得がいかないものがある。しかし同時に Photoshop とは違う Painter ならではの機能などを強調しているのは、ひとつのやりかたとして意味がある。
- リキッドインクは何かと「非常に重い」ので、面白くてもあんまり初心者にはおすすめしたくないなあ。インパストもいろいろ限界があるし。「Painter ならではの絵」の水曜日がイメージホース、クローン、新水彩、インパスト、リキッドインク、になっているけど、普通に使えて応用が効くのはクローンだけだと思う。
- キャラクタ絵はかわいいけど、火曜日のコーヒーカップがナゾ。
- 木曜日以降、とくに異論なし。土曜日あたりは Tips 集になっているので、初心者にちょっと毛が生えていても有効な情報もあるかも。
(Last Modified: 2005/11/09)
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