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circle解説書インプレッション (3)

Painter 8 発売から Painter IX までに出版されたもの。

タブレット & Painter Classic・Essentials で絵を描こう

この本が出たあと、吉井さんは、もう Painter 解説書は執筆しないという宣言をしました。(絵を描くほうに専念するため、だそうです。このごろは ZBrush にも力を入れているせいもあるようですが。) あるものを確保しておきましょう。

  • 著者 ― 【 吉井 宏 】
  • 出版社 ― 【 IDG ジャパン 】
    詳細は 【 この本の紹介ページ 】
  • 2003 年 10 月 10 日発行、定価(本体) 1,900 円、255 ページ。
  • 吉井さんのひとつ前の本、『タブレット & Painter Classic で絵を描こう』(これは Painter Classic Ver. 1 対応の解説書)ですでに「すべて書き尽くしました。これで使えなきゃ知らんもんね」という著者の言葉が表紙に載ってるけど、この本も内容ギッシリ。ぶっちぎりでコストパーフォーマンスがいい。Painter Classic や Essentials だけでなく、すべてのバージョンの Painter に有効な情報がほとんど。
  • 上の本の紹介ページにある URL から作例の下絵が全部ダウンロードできる。パスワードとかかけてないのが好き。でも Painter ユーザーならこの本は持ってるほうがいいと思う。
  • Part 1 はタブレットの使いかたと設定解説。
  • Part 2 は Painter Classic (Ver. 2) と Painter Essentials (名前は変わっても Painter Classic のバージョンを引き継いで Ver. 3 らしい)の使いかたの基本解説。
  • Part 3 は実際の作例に沿った解説。なんと、51 例が 108 ページにギッシリと詰め込まれている。この本は余白がない。文字のサイズも小さく、字間を詰めた(でもきれいな)版組みで、文字数、図版とも量としては「ふつうの Painter 解説書」(というものを仮に想定したとして)の 2 冊分くらいある。Part 3 だけでそうなので、全体では 3 冊以上のボリューム。(Painter 解説書の平均が低いのかもしれないけど、それはまた別の問題。)
  • 書店で現物をチェックすればわかることだけれど、作例は幅が広くて、吉井さん独特のキャラクター絵の例にしても使っている技法は応用が効くものばかりだから、「使えない」技法がない。それに全部新作。前の本とは本の構成もかなり違うし、使い回しがない。吉井さんの勤勉さには頭が下がります。
  • なんかほめてばっかりですが、ほんとにいい本です。タブレット売場にいっしょに並べて売るべき解説書だと思います。(2003/10/07)

[ ミスプリント ]
p. 103 キーボード・ショートカットの選択範囲のところは、「全て選択」が Ctrl (Command) + A、「選択解除」が Ctrl (Command) + D、「再選択」が Classic では Ctrl (Command) + R、Essentials では(たぶん) Shift + Ctrl (Command) + D、「選択範囲の反転」が Shift + Ctrl (Command) + I が正しい。
p. 104 「すべてのパレットを隠す」は Painter 8 では Tab なので、Essentials でもたぶん Tab。「パターンをスクロール」は Painter Classic 2 および Essentials では無効。「ブラシのサイズ変更」は以前のものに追加して Shift も同時押し。(このへん Painter Classic 1 の情報が残ってしまったようです。)

[ 疑問点 ]
p. 65 ブラシトラッキングの数値の意味は、うちの 【 Painter メモ (2) 】 のほうが推測が合ってると思います。日本語で「パワー」と書いてあるので「筆圧」だと考えるのもわかりますが。

Painter Classic Ver. 1 を持っている人は『タブレット & Painter Classic で絵を描こう』が絶版にならないうちに買っておくといいかも。

Painter 8 (パワー・クリエイターズ・ガイド)

  • 著者 ― 大賀葉子、石川浩二、ユキタソノコ、オオノミホ、河崎淳、近藤亜美、岩野希久子、野呂和史、森下大。
  • 出版社 ― 【 アスペクト 】
    この出版社のグラフィック関連サイトは 【 フューチャー・グラフィックス 】 (リソースにアクセスするには個人情報を入力して会員登録する必要がある。)
  • 2003 年 9 月 25 日発行、定価(本体) 2,800 円、256 ページ。
  • 出版元の紹介文に「どこよりも早い Painter 8 のガイド」あるとおり、早く出すことを目的にした解説書のようだ。著者の人数が多いのは作業を分担して出版日を早くするため以外には理由はないようだし、構成にはデメリットになっている。編集サイドが無理をしている感じがする。
  • 吉井さんの新刊を見たあとでこれを見ると、ページがとてもスカスカ(1 ページあたりの内容が 3 分の 1 程度)に感じるけど、これはまあ Painter の解説書には他にもこういうのはある。
  • 基本操作についても、吉井さんの本がたいていのユーザーがいだく疑問にあらかじめ答えているのと較べると、基本的にマニュアルを噛み砕いてわかりやすくするにとどまっている印象。
  • 正確に言えばそうではない、という記述がたくさんある。バグでできないことをできるように書いてあるのは、実際にチェックしないでマニュアルを言い換えたのか、あるいは販売元との関係上バグと言ってはいけないのか、どっちかわからないけど、読者は混乱する。
  • でも、多少とっつきのいい解説書を早い時期に出してくれたことには、それなりの意味がある。Painter 8 を買ってどこから手をつけていいのかわからず、途方に暮れているユーザーの助けにはなりそう。値段が高いので書店で内容をチェックして、欲しい情報が多いか確認してから買ったほうが安心。
  • ちょっと評価できるセクションは「ブラシ操作」と「レイヤー」。
  • 執筆者のなかで、以前にも Painter 関連書を執筆している大賀葉子さんと石川浩二さんは巻末のチュートリアルを担当。しかし、吉井さんの「解説のための」作例と違って本人の作画方法を順を追ってたどっているので、その通り実行するのはムリがあるステップがある。最初に「段ボールに白いグアッシュをラフに塗ってそれをスキャナで取り込む」(テクスチャ用)とか、Expression を使うとか Photoshop を使うとか。また、作例に固有の要素が多く、応用しにくい。
  • それにしても、Painter って 1 冊の本ではぜんぜん解説しきれないんだなあ、と改めて思いました。この本の出版社の 【 紹介ページ 】 の紹介文はちょっと過剰。(2003/10/07)

わたしはこの評価記事を書くために、高いなあ、と言いながら購入しました。

Painter 8 デジタル・イラストレーション

  • 著者 ― ebatako、dqn、梶谷、原友和、兼房 光、ナカオ★テッペイ。
  • 出版社 ― 【 工学社 】
  • 2003 年 12 月 25 日発行、定価(本体) 1,900 円、141 ページ。うちカラーページは巻頭の 32 ページ。
  • カラーページが少ない〜。(このシリーズは全部。)
  • 付属 CD-ROM に作例と Painter 8 英語版体験版を収録。
  • 工学社が Painter 7 対応と称して出した解説書(『Painter 速攻レッスン』)が、作例ではほとんど Painter 7 を使っていなかったことについて批判があったのか、(そりゃあるとは思うが)、今回はしっかり全員が Painter 8 を使った作例になっている。(他のバージョンでも描ける作例ではあるが、少なくとも「旧水彩」は使っていない。)
  • ページうちわけは、作例カラー図版 6 ページ、Painter 8 紹介 11 ページ、作例 (1) 梶谷 30 ページ、作例 (2) 原友和 14 ページ、作例 (3) ebatako 16 ページ、作例 (4) 兼房 光 18 ページ、作例 (5) ナカオ★テッペイ 14 ページ、作例 (6) dqn 21 ページ、Tips 5 ページ。
  • このシリーズは「同人向け」に出版されているようですが、取り上げられている作例の絵柄に幅を持たせる配慮がされているようです。デジタルで描くということにまだ慣れていないユーザーには、慣れれば自然にわかってくる手順でも詳しく記述してあるのが参考になりそう。しかし、風景やポートレート、植物画などの「趣味の絵画」的な素材は扱っていないので、そういう目的なら別の解説書を。
  • 直前に刊行された工学社の『Photoshop CG 速攻レッスン』と著者のうち 4 人が共通。両方をちゃんと使いこなしているようです。

著者リンク集。

  梶谷
  原友和
  ebatako
  兼房 光
【 SUPERGOODVIBES 】   ナカオ★テッペイ
【 drqrn 】   dqn

Painter らくらく絵画教室

  • 著者 ― 【 HAL_ 】 (広告バナーいろいろ注意。)
  • 出版社 ― 【 ソーテック社 】
  • 2003 年 12 月 10 日発行、定価(本体) 2,480 円、287 ページ。
  • Painter を使う上での知識と、「絵を描く」ことについての知識と、「趣味の絵はどうあるべきか」という著者の意見が渾然一体になってる本、なので、Painter 解説本とは言いにくい。読者にとっての「情報の優先順位」について混乱のある本、と言ってもいいかも。反対に言えば、そのすべてについて「初心者」なら違和感なく読めるし、得るところもいろいろある本ということになる。
  • 絵柄が独特なので、ふつうのユーザーには違和感のある作例が多い。特に写真からクローン機能を使って人物を起こすのに「ゴッホタッチ」を使うというのは、普通はおすすめできない。
  • 違和感のない例として、写真から植物画を描く作例があるが、トレーシングペーパーを使う手法で解説しているので減点。あと、こういうリアル指向な絵でおもむろに複製を配置するのは、使う場所が間違ってる印象を受ける。人間の眼はこういうのを目ざとく見つけて嫌う傾向があるので。風景画のセクションでは参照画像をレイヤーにして不透明度を下げる方法にも触れてはいるが、記述に間違いがある。(元の参照画像が「クローン元」になっている限りクローンカラーは使える。)
  • 「新水彩」をふつうの風景画に使うのって無理じゃないかなあ。ティントがいちばんまともで、リスクがあっても効果を取る場合はときどきデジタル水彩。その点、工学社の解説書では誰も「新水彩」を使っていないのが正直だ。
  • 本人の絵の個性は、解説書では長所になっていない。普通の絵柄の絵も入っているけど、ページ数の割合から言うと少ない。「解説書」と「本人の絵の発表の場」が重なっている部分がまずいのだと思う。これは編集者の責任とも言える。
  • ともあれ、解説書の選択肢が増えるのはよいことです。これは「専門学校で Painter のクラスを取ったらこんな授業内容かも」という感じの本です。

ひとことインプレッション

『一週間でマスターする Painter 8』(大賀葉子・毎日コミュニケーションズ) ― 購入ずみ。そのうちもっと詳しく評価する予定。前より価格は安くなって 2,400 円で、内容も充実した感じで好印象。

『パソコンで上手に描けるすてきな風景画 ― Painter Essentials 対応』 (張 弛・技術評論社) ― 立読み。目新しいものはなし。途中まで描いたデータが CD-ROM で付属している。でも「見本」の作例と、実際に手順が解説される作例のレベルがかなり違うので残念。「上手に」と「すてきな」とふたつ形容が入ってるけど、こういう「パソコンで魔法のように何かできる」かのような言葉をふたつも入れるのって、疑問。読者をナメとんのか。ナメられるようなユーザーがターゲットであれば正しいマーケティングなのかもしれないが。技評は好きな出版社だけど、新しいジャンルだとハズすのかな。

(Last Modified: 2004/02/09)

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