解説書インプレッション (1)
ちょっと前に出た、基本的な解説書のグループ。
タブレット & Painter Classic で絵を描こう
- 著者 ― 【 吉井 宏 】
- 出版社 ― 【 IDG ジャパン 】
詳細は 【 この本の紹介ページ 】
- WACOM の紹介ページはこちら ⇒ 【 Painter Classic 吉井本紹介 】
- 2002 年 2 月 28 日発行、定価(本体) 1,900 円、231 ページ。
- 著者の「すべて書き尽くしました」というコメントが表紙に入っているこの本、Painter Classic という入門ツールの解説書でありながら、徹底的かつ多角的に解説されているので、フルバージョンの Painter 6 や Painter 7 を持っている人にも参考になる項目が多い。
- 章立ては「タブレットを使いこなそう」、「Painter Classic の基本操作」、「ペイントテクニック」、「クローン機能を使う」、「3Dテクスチャを描く」、「絵をみんなに見せよう」、「絵の描き方 初歩講座」、「Q&A集」。
- 文字数がページ数から想像するより多く、とても充実した印象がある本。余白がなく、文字と図版がギッシリ。
- 初めて Painter を使うかたには、Painter がどのバージョンであれ、この本がいちばんお薦め。(現在はもっと新しい『タブレット & Painter Classic・Essentials で絵を描こう』が出たので、Painter Classic 1 あるいは Painter 5 ユーザー以外はそちらがおすすめ。) 「パソコンで絵を描く」ことで、どんなことができるのか、基本がつかめる。
Painter アスレティクス
- 著者 ― 【 吉井 宏 】
- 出版社 ― AGOSTO。
- 1999 年 2 月 25 日発行、定価(本体) 3,800 円、159 ページ。ギャラリーをのぞいた本文 120 ページ。
- Painter ユーザーの話を聞くと『ハンズ・オン Painter!』(IDG、1998 年 1 月、3337 円、192 ページ)のほうが評判がいいものの、その評判を聞いたときにはすでに出版元在庫切れになっていて入手できず。
- 「アスレティクス」も同じく Painter 5 の解説書。これは AGOSTO の雑誌に掲載された解説記事に手を加えてまとめたものらしい。
- いまでも入手可能のようだが、吉井さんの新しい Painter Classic 解説本(Painter Classic 1 対応版と Painter Classic 2 および Painter Essentials 対応版の 2 種類)がすでに出た現在、付属 CD が欲しいのでなければあまり買う意味はない。
- 付属 CD はよく解説書についている「解説で使ったファイル」ではなく、「ゴミ箱」と称する吉井さんの種々雑多な作品ファイルが入っているので参考になる。
- 同じく CD に収録されている「月刊 Yoshii バックナンバー」も面白いが、これは吉井さんのサイトでも読める。Painter Classic 1 を持っているユーザーは、これに収録されている Painter 5 体験版でブラシのカスタマイズができるらしい。
明解 Painter 7
- 著者 ― ランディング。過去に『Painter 5 A To Z』という分厚い解説書を出した実績あり。
- 出版社 ― 【 MdN 】 (インプレスのグループ会社)
【 明解 Painter 7 内容紹介ページ 】
- 2002 年 6 月 21 日発行、定価(本体) 2,800 円、287 ページ。
- 『明解 Painter n』(n は任意の数字)の Painter 7 対応版。
- 本の構成は「機能による切り分け」。マニュアルと違う視点で順序立てて解説されているので、わかりやすいマニュアル代わりの本としてよくできている。構成が理解しやすいので、目的の情報がありそうな場所を探しやすい。
- ただし、全体の情報量はマニュアルにくらべればずっと少ないので、細かいところの確認にはマニュアルは必要。
- ノズル作成の手順が詳しい(たぶん解説書のなかではいちばん詳しい)が、このへんは Painter 5 準拠の部分がちょっと残っている感じ。新しいバージョンだとノズルの方向やサイズなんかも「表現設定」に従ってくれるので、ランクのあるノズルを作る必要があるのは複数の色のグループを使うときくらいじゃないかと思う。けど、このへん複雑なのでこっちのチェック不足かも。
- バランスのいい解説書。あえて難を言えば、「なるほど面白い」というような Tip とかがない。
一週間でマスターする Painter 7
- 著者 ― 大賀葉子。サイトは 【 Ogre's 】
- 出版社 ― 【 毎日コミュニケーションズ 】
- 2002 年 2 月 28 日発行、定価(本体) 2,400 円、287 ページ。
- シリーズとしている出ている『一週間でマスターする Painter n』(n は任意の数)の Painter 7 版。(このシリーズを大賀さんが担当しているのは Painter 7 から。)
- これは『一週間でマスターする hogehoge』(hogehoge は任意のアプリケーション)シリーズの中の 1 冊。しかしどうもこのシリーズの基本構成と Painter は相性が悪いのではないかと思われる。実際の作業という視点からの時間系列ベースの Painter の解説は、切り分けが非常にむずかしそう。その結果、この本の構成はちょっと混乱している。
- 「一週間で」というタイトルは初心者用に見えるが、かなり突っ込んだ話題も取り扱っているので、中級者でも「それは知らなかった」(マニュアルにあっても気がついていなかった)ということもあると思う。このシリーズの昔のもの(Painter 2 対応版がたまたま手元にある)と比較すると、たいへんレベルが上がっている。
- Painter の機能で「何が重要か・何が基本か」というのはユーザーによって違ってくるとは思うが、そうは言っても取り上げている項目に納得がいかないものがある。しかし同時に Photoshop とは違う Painter ならではの機能などを強調しているのは、ひとつのやりかたとして意味がある。
- リキッドインクは何かと「非常に重い」ので、面白くてもあんまり初心者にはおすすめしたくないなあ。インパストもいろいろ限界があるし。「Painter ならではの絵」の水曜日がイメージホース、クローン、新水彩、インパスト、リキッドインク、になっているけど、普通に使えて応用が効くのはクローンだけだと思う。
- キャラクタ絵はかわいいけど、火曜日のコーヒーカップがナゾ。
- 木曜日以降、とくに異論なし。土曜日あたりは Tips 集になっているので、初心者にちょっと毛が生えていても有効な情報もあるかも。
Painter キャラクターデザインブック
- 著者 ― 大賀葉子。サイトは 【 Ogre's 】
- 出版社 ― 【 毎日コミュニケーションズ 】
- 2002 年 11 月 28 日発行、定価(本体) 2,800 円、287 ページ。
- 「キャラクターデザイン」とかついてるけど、これは大賀さんの作例集(アイディア集)であって、大賀さんの画風がキャラクターの比重が多い結果こうなっている感じ。「キャラクターデザイン論」はごく少し。
- 「一週間で」よりずっとデザインがきれいな本。また、こっちの本のほうが大賀さんの本領が発揮されていると思う。巻頭部分は Painter の基本操作の解説。この他にテクニックのコラムがかなりの数、ちりばめられている。
- 作例総数 42。Painter のさまざまな機能の使用例がでてくるのがいい。「その結果を得るのにその方法がベストなのだろうか」とか、「そんな絵はぜんぜん描きたくない」と思う例もあるけど、そこで紹介されているテクニックを知っていて損をするわけじゃない。
- Painter のテクニックと言えるものと絵を描く上でのあたりまえのことがごちゃまぜに解説されているので、後者の部分をムダに感じる。
- 巻末に Painter によるアニメーションの作例が載っているのは貴重かも。
- 工学社の Painter 関連ムックにあるような絵を描こうとする場合は、あまり参考にならないと思う。
(Last Modified: 2003/10/08)
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