照明で球面表現
まず、円を描く
球形(あるいは、それらしく見えるもの)を描きたいとき、やっぱり手描きだときれいに均等な円を描くのはむずかしいので、Painter が持っている図形関連の機能を使います。ここでは「楕円形選択ツール」を使用。(ほかに「楕円形シェイプツール」を使って、シェイプを選択範囲に変換するという方法もあります。)
これはツールパレットの「長方形選択ツール」と同じ場所に重なっているので、ここのアイコンをしばらく押し下げてアイコンリストが出たところで切り替えます。
選択ツールは、マウスカーソルで範囲設定を始めたあとで シフトキー を押し下げ、そのまま決定することで、「長方形選択ツール」では正方形、「楕円形選択ツール」では正円の形に選択することができます。(シフトキーは「選択範囲を追加」というときにも使いますが、キーの押し下げタイミングで動作が切り替わるので、たとえば「追加だけど正方形や正円ではない」ときは、カーソルを引きずり始めたあとでシフトキーを離して範囲選択します。)
そうやって円形の選択範囲を作り、円形の内部を Ctrl / Option + F あるいはバケツツールで塗りつぶります。こんな具合。
あとで同じ円形の範囲に何か処理を加えたくなったとき、正確に同じ位置に同じ大きさの円形の選択範囲を作るのはむずかしいので、選択範囲はマスクに保存しておくと安心です。簡単なのは、オブジェクトパレットのマスクセクションの「保存」ボタンをポチッとやることですが、「選択範囲」メニューから「マスクへの保存」を実行しても同じです。
シェイプから選択範囲を作るときは、シェイプをあらかじめ同じ位置に複製しておくと、同じように予備に使えます。複製はレイヤーツールで Alt / Command + クリック。
照明の適用
次に 選択範囲を解除しないままで ここに「照明の適用」を実行します。メニューの「効果」−「表面処理」の中にありますので、ダイアログを呼び出します。
上の例では「シンプルライト」を選択し、図のように設定を変更しました。設定項目がいくつかあるので最初は把握しにくいかもしれませんが、実際にライトで物に光を当てる場面を考えると、なるほど、という項目ばかりです。
設定項目の上から順に、「明度」はそのとおり「ライトの強さ、照明の明るさ」です。2つめの「距離」はライトの距離です。距離が遠くなるとライトがキャンバスに当たるまでに光がより広く広がるので、ライトが当たる範囲は広くなります。
「照射角度」はライトの角度です。キャンバスに並行な状態が 0 度、直角に立てると 90 度になります。
「幅」はライトから出る光の広がりを設定します。
さらにその下の「露光」は全体の明るさ、「環境光」は全体を均等に照らすライトの設定です。照明も環境光も色が設定できるので、白い光以外もライティングに使えます。
ライトの位置は、ライトの中心(照明が当たる領域の中心)をつかんで引きずります。ライトの方向は、中心から伸びている小さい丸で表示されているライトの根本をつかんで調節します。ライトのないところでクリックするとライトが 追加 になります。特定のライトをクリック選択した状態で Backspace / Delete キーを押すことで、そのライトを消去します。
ライティングの設定変更はダイアログを閉じると消えますので、気に入ったライティングができたら名前をつけて保存しておきます。
上の設定で円形の選択範囲に「照明の適用」を実行した結果はこんなふうになります。選択範囲に効果を適用しているので、周囲には影響がありません。また、これはほかの「効果」でも同様ですが、効果の広がりはつねに対象となるもの(キャンバス、レイヤー、選択範囲)の大きさに比例するため、効果があまりにも分散してしまうのを防ぐのにも選択範囲が使えます。
オーバーレイを使う方法
レイヤーの合成方法を「オーバーレイ」モードにすると、その下にあるイメージの濃淡だけを調整することができて便利ですが、それを使うとこんな手順になります。まず、上に挙げたような方法でもとの円を描きます。
別のレイヤーを作り、最初の円を描いたときと同じ選択範囲を使ってニュートラルなグレー(RGB: 128,128,128)で塗りつぶします。この色は「オーバーレイ」モードにしたとき、下のイメージにまったく影響を与えない色です。
選択範囲を有効にしたまま、この灰色の円に白色の光で照明を適用します。
最初は「デフォルト」になっている合成方法を「オーバーレイ」に変更すると、灰色のレイヤーが下のイメージに濃淡をつけるので、こんな結果になります。
以上、Painter でふつうの絵を描くのにそれほど使うわけではありませんが、ウェブ素材などを作るときには便利かもしれません。
(2002/08/28: ライトの方向設定の解説修正)
(Last Modified: 2002/08/28)
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