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circlePainter 6,7,8 のファイルの互換性

Painter はバージョンが新しくなるごとに新しい機能がついたり仕様変更がありました。特に以下のものは重要な変更です。

  • Painter 6 で「業界標準のレイヤー」が追加になった。透明レイヤーを実現するために、レイヤー上での描画は同時にレイヤーの「不透明度」の編集になるようにブラシの標準的な動作が変更された。
  • Painter 6 テキストを扱うのに「ダイナミックレイヤー」の「ダイナミックテキスト」が追加された。(以前からあるテキストは、文字ひとつずつがシェイプとして入力される。)
  • Painter 7 ではこの「ダイナミックテキスト」が「テキストツール」と統合された。ダイナミックテキストを「シェイプに変換」することで以前のテキストと同じになる。
  • Painter 7 では Painter 6 までの「旧水彩」がなくなり、専用レイヤーを使う「新水彩」が追加された。
  • Painter 7 では新しく専用レイヤーを使う「リキッドインク」が追加された。
  • Painter 8 では「旧水彩」を望む声にこたえて「デジタル水彩」が追加された。
  • Painter 8 ではレイヤーマスクの仕組みがこれまでの Painter の方式から Photoshop 方式に変更になった。

Painter 6 までのバージョンアップは基本的に単純な「上位互換」で、バージョンが上のもので作成したファイルを古いバージョンで開くときに多少問題が出るだけでしたが、Painter 7 で以前の水彩がなくなったので、Painter 7 以降で Painter 6 までのファイルを読み込むと 不可逆的な変換 が行われます。(いったん保存すると、またもとのバージョンで開いても元の状態には戻りません。) 違うバージョンに渡したとき、何が渡せず、何が変化してしまうのか、そのへんをまとめてみました。

不可逆的な変換が行われてしまうと(加筆ができなくなると)困る部分があるファイルについては、ファイルを丸ごと違うバージョンで開くのではなく、渡したいレイヤーのみ Copy & Paste するか、クローンを作ってそれを渡すなどして、元のファイルはそのまま残しておくほうが安全です。

Painter 6 までの旧水彩

Painter 7 以降で開くと「新水彩」のレイヤーに変換される。このとき「旧水彩」の「水彩境界」が 100% の状態で変換されてしまうので、思わぬ結果になる(特に水彩部分の端が複雑になっている場所で汚くなりやすい)。Painter 7 では「水彩境界」の設定はないので、変換結果を修正することができない。Painter 8 の「水彩境界」は「デジタル水彩」にしか影響しないので、これでも「水彩レイヤー」を修正することはできない。

キャンバス上に乾燥していない水彩と通常のブラシによる描画部分が混じっているときは、キャンバスと新水彩のレイヤーに分けて変換される。

対策 ― 旧水彩部分を乾燥してしまえば互換性は問題ない。加筆のために乾燥せずに残したい場合は、キャンバスのみクローンして渡すか、乾燥して別名保存で渡す。渡したあとはキャンバス上にある色なら「水彩レイヤーに変換」で新水彩で加筆できるレイヤーになる。

いったん乾燥してしまった旧水彩は、これをクローン元にして水彩ブラシで全体を自動クローンすることで、未乾燥状態に戻すことができるが、細部の復元は困難。

Painter 7 以降の新水彩

Painter 6 以前で開くと 通常のレイヤー になる。

対策 ― 通常レイヤーに変換されても、いったん真っ白なキャンバスに「Drop / 固定」して、その後「Lift Canvas to Water Color Layer / 水彩レイヤーに変換」することで前の状態に戻すことができる。これは水彩レイヤーへの描画がつねに「不透明度 100%」なので、半透明状態を復旧する必要がなく、さらに水彩レイヤーは基本的に合成モードが「フィルタ」で白の不透明部分があっても無関係なため。すでにキャンバス上にあるものはいったん「全選択」−「レイヤーに変換」して退避する必要あり。

Painter 8 のデジタル水彩

いったんファイルを閉じるだけで「乾燥」した状態になる。そういうわけで旧バージョンにいったん持って行っても行かなくても、再度 Painter 8 で開いたときの状態は同じ。

対策 ― 【 Charako House 】【 ペインター講座 】【 デジタル水彩 補足 】 に「デジタル水彩」を未乾燥状態にする方法が解説されています。

Painter 7 までの旧タイプのレイヤーマスク

Painter 8 で開くと非表示になっている部分のデータが復旧できなくなる。(これは Photoshop に持っていった時と同じ状況。)

対策 ― Painter 8 で開いた直後に該当レイヤーに対して Create Layer Mask from Transparency / レイヤーの透明度からレイヤーマスクを作成 (レイヤーメニュー)を実行、新しくできたレイヤーマスクをクリックして 削除 する。半透明だった部分もすべて不透明度 100% で復元される。(必要のない部分まで黒く出てくるかも。)

Painter 8 の新タイプのレイヤーマスク

Painter 7 以前に持っていくと内容のないサブレイヤーに変換される。(実質的に消える。)

対策 ― あらかじめ「Apply Layer Mask / レイヤーマスクを適用」でレイヤーと合成しておくほかに、対策なし。合成してしまっても描画部分そのもののデータはあるので、旧バージョンのレイヤーマスクを編集する(黒で塗る)と隠されていた部分を表示することができる。ただし、何もないところを「表示」すると黒になる。

Painter 7、8 のテキスト

Painter 6 以前に持っていくと内容が消えてレイヤーの痕跡だけになる。(実質的に消える。)

対策 ― テキストをシェイプに変換、あるいは「Commit / 確定」してピクセルベースのデータに変換すれば問題ない。

Painter 7 以降のリキッドインクレイヤー

Painter 6 以前に持っていくと 通常のレイヤー になる。

Painter 6 以降のレイヤー

Painter 5 などフローターのあるバージョンならフローターに変換される。古いバージョンにもある「合成方法」であればそのまま、ない場合は「デフォルト」になる。

Painter Classic 2 では(Painter Essentials も同じと推測される)、その中からレイヤーの合成方法を変更することはできないが、Painter 7 や 8 の合成方法をそのまま持っていける。

Painter Classic 1 にはフローターやレイヤーがないので、ファイルを開くとすべてのレイヤーが「固定」された状態になっている。

Painter 6 以降のインパスト

Painter 5 や Painter Classic 1 で開くと、インパスト(絵具の厚み)効果が消えている。

Painter 8 で Photoshop と互換性がとれたもの

レイヤーマスク。Painter のレイヤーのグループと Photoshop のレイヤーセット。Painter での PSD ファイル保存時の圧縮。

2003/09/20 - テキスト関係ちょっと修正。
2003/09/08 - Painter 8 関連情報も追加して全面書き直し。

(Last Modified: 2003/09/20)

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