使いたおし リストarrow  home prev  index  next    

circleマンガ原稿のスクリーントーンと二値化

ハーフトーン化

最終的に白黒二値で提出するマンガ原稿について、Painter では次の処理ができます。(Painter での編集は、すべて 8 bit RGB ですが、こういうデータも作れる、という例です。)

  • 中間的な明るさの部分を白黒二値のハーフトーンに変換。画像の明るさによる自動的なデジタルスクリーントーンとも言える。
  • これとは別に、白黒のパターンで塗ることによる、デジタルスクリーントーン作業。
  • 中間的な明るさはいらない部分を単純に白黒二値化。

まず、中間的な灰色をハーフトーンに変換する例です。これが、手作業で作成したデータ。(たいへん間に合わせですいません。)

original photo

ついでに、わりと便利な Painter での作画手順を書いておきます。

  1. 新しくキャンバスを開き、鉛筆で下描きする(あるいは下描きをスキャンして取り込む)。
  2. 鉛筆下描きを透明レイヤーに変更する。これは 【 線画抽出 】 で解説しています。新しいレイヤーを塗りつぶす色を赤などにするとわかりやすくなります。
  3. キャンバスに戻り、白で塗り潰して下描きを消し、ペン入れをする(あるいは、ここで清書(ペン入れ)した原稿をスキャンして取り込む)。
  4. 下描きレイヤーを消すか非表示にして、ペン入れしたキャンバスの上に新規レイヤーを作成、白で塗り潰し、合成方法を「Gel/ フィルタ」に変更。灰色の濃淡でのベタ塗りをする。(パーツごとに別レイヤーにしてもよいが、Painter はレイヤーが多くなると重くなるので注意。)

line art   fill layer

上の絵は、左のキャンバス上の線画と、右の塗りレイヤーからできています。

まず、グレーの塗りをハーフトーンに。テクスチャパレットで使用するハーフトーンデータを選択します。ハーフトーンデータは、テクスチャパレットメニューから「テクスチャを作成」で作り、テクスチャライブラリに保存しておきます。ここで、印刷するときの解像度に合わせてハーフトーンの点のサイズを決めます。また、灰色の濃淡が適度であれば、どんなテクスチャでも使えます。

塗りレイヤーに移動して、メニューから「効果」−「表面処理」−「スクリーンの適用」を選択。上のスライダを 100%、下のスライダを 200% に設定、ドロップダウンリストの「Using / 参照元」から「テクスチャ」を選択。ハーフトーンパターンではないテクスチャを使用するときは、灰色の濃淡が必ずしもトーン処理に向いていないので、プレビューを見ながらテクスチャパレットでコントラストや明るさを調節します。(Painter は、効果関係のダイアログを開いたまま、プレビューを確認しつつテクスチャの種類を変更したり、テクスチャ倍率やコントラストなどを調節できるのが強みです。)

別のレイヤーには、それぞれ別のハーフトーンパターンやテクスチャが使えます。

fill to halftone

塗りの部分だけ白黒二値のハーフトーンに変換されました。下の線画はまだ濃淡がある状態です。

次に線画のあるキャンバスに移動。ふたたび「スクリーンの適用」を使用しますが、今度は「Using / 参照元」に「画像の明るさ」を指定します。

line to 1 bit

これで線画も二値化されました。あとはレイヤーを固定するか、全体をクローンして保存。原寸のファイルは 【 これ 】 (GIF 53KB) です。

作成した画像そのものは、あまり大きくありません。二値化する前に 4 倍に拡大して、それに処理をかけました。Painter のスクラッチボードなど、少しアンチエイリアスがあるペンなら解像度は中くらいで作画して、二値化のときに拡大するようにしたほうが、メモリの節約と動作の速度向上が図れます。

中間トーンのあるグレースケールの解像度と、白黒二値での解像度の関係については、吉井宏さんの 【 解像度 600dpi? 】 がたいへん勉強になります。

自由なスクリーントーンの貼り込み

中間的な灰色で塗るのでなく、直接「デジタルトーン」を貼り込む作業に相当する、白黒二値のパターンで塗る方法もあります。たとえばこんなの。

digital patterns

レイヤー構成は上の場合と同じです。線画の上に新規レイヤーを作成、フィルタモードにして、白で塗り潰して使いました。このへんは好みで、どういう方法でもよいのですが、白のベタ塗りのフィルタレイヤーは、Painter で画像を重ねる場合の由緒正しい使いかたなので、思いがけない結果になることが少ないのです。上のハーフトーン変換と違い、こちらの方法では、白黒二値のパターンが必要になります。

実は Painter にはこの目的に使える素材が付属しています。すなわち、用紙テクスチャライブラリ。これをテクスチャパレットから開いて、パターンに変換したものをあらかじめ作成します。ここで、Painter IX では新しくライブラリを開くと、現在のライブラリが消えるので注意。デフォルトのパターンライブラリはアプリケーションフォルダにありますが、自作のものは新規ライブラリを作成して退避する必要があります。

【 テクスチャとパターンの基本 】 に解説したように、テクスチャと同じサイズの新規ファイルを開き、「効果」−「表面処理」−「テクスチャを表現」を、グレー境界を 150%、粗さを 100%、コントラストを 100% にして実行すると、テクスチャの複製ができます。

そのままでは最大 256 階調のグレースケールなので、二値に変換する必要があります。ここでも「スクリーンの適用」を使用。「Using / 参照元」を「画像の明るさ」にして、下のスライダは右端、上のスライダを調節して二値に変換。これをそのまま画像として保存しておいたり、パターンに取り込んでおきます。

画像として保存した場合は、Painter で開き、パターンパレットのメニューから「パターン化」を実行、これを一時的に「現在のパターン」にした状態で使います。

パターンをそのまま塗るには、「クローン」ブラシカテゴリの「ストレートクローン」バリアントを使います。白塗りレイヤーでは、はみ出しを消すには、ベタ塗りペンで白で塗ります。

(Last Modified: 2005/03/03)

    もどるreturn  home prev  index  next