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circlePainter 8 ここが変わった

Painter 8 に限りませんが、Painter のユーザーガイドの内容は、古いバージョンの解説のままで更新されていない部分があちこちあります。そのへんをあらかじめ留意しておいてください。

インターフェイス

見た目がかなり変わりました。要するに Photoshop に近い画面になりました。ツールボックスが縦長になって、デフォルトでは左端、ツールパレットにはテクスチャその他のアート素材の選択リストも追加になったので、テクスチャのパレットなどを表示しなくても選択の変更が可能。ただし、いろいろなオプション設定はやはりそれぞれのパレットからやる必要あり。以前のコントロールパレットが プロパティバー になって、画面の上端に。ブラシパレットは ブラシセレクター になって、その右に。


上の絵は John Derry 氏による Beach Scene スクリプトを再生したもの。

プロパティバーは横に長い(短くできない)ので、位置の移動はできるものの、なかなか好きなように配置できません。他のパレット類は、以前に「セクション」と呼ばれていた単位で自由に切り離し・結合ができるので、小さくまとめやすくなりました。レイヤーやチャンネルのパレットは、単独にすると 縦にも横にも広げられます。「サムネイルも大・中・小・なし」から選べて自由度は大変高くなりました。

Info パレットの追加で、絵の全体のバランスは見えるようになりましたが、Photoshop と似ているようでいて、ここから表示範囲をずらすとかはできないとか、表示倍率を変えられないとか、ちょっと中途半端でもあります。

パレット全部を 隠す / 表示する のショートカットキーは Photoshop と同じ Tab に変更。

プロパティバーとブラシセレクターについては、さらに 【 Painter 8 プロパティバー 】 で解説。

ブラシクリエイター

Painter 6 と 7 ではセクションを開くと長〜くなっていた「ブラシコントロールパレット」が「Brush Creator / ブラシクリエイター」となり、別画面に。画面切替えはブラシセレクターのメニューの Edit Brush あるいは Command / Control + B で。(Windows なら Ctrl + Tab でのウィンドウ切替えでも移動できる。) 絵を描きながらブラシ調節することができなくなりました。通常画面から変更できるのはプロパティバーにある項目のみ。

Brush Creator / ブラシクリエイター には Randomizer / ランダマイザー(選択されたバリアントから設定をランダムで変えた変種を生成)、Transposer / トランスポーザー(選択されたバリアントと、もうひとつのバリアントの間の、中間の変種を複数の段階で作成)、Stroke Designer / ストロークデザイナー(自分でカスタマイズ・以前のブラシコントロールパレットの機能と同じ)の三つの面<があります。ヒマなときはランダマイザーでけっこう遊べるかも。

ブラシクリエイターの下の部分に、現在のブラシ設定でどんなストロークになるのかが、リアルタイムで表示されるのは、自分でカスタマイズするときにもわかりやすいです。

ブラシ設定のファイルについては 【 ブラシファイルの構造 】 (Painter 6 や 7 との比較)を参考にしてください。また、 Painter 7 のブラシ XML ファイルはそのまま Painter 8 で読み込めますが、Painter 8 で作成した XML ファイルは Painter 7 に持っていくとエラーが出ます。詳細は 【 Painter 8 ブラシを 7 用に編集 】 で解説。

その他の変更点

Digital Water Color (デジタル水彩)が追加になった。これは Painter 6 までの「旧水彩」の復活を望む声に応えたもののようだが、いろいろと旧水彩とは違うし、バグらしいものも多い。ただ、ぼかし関連はティントブラシよりは水彩っぽいので、組み合わせれば使い道はありそう。このブラシは「水彩」ではなく、ふつうのレイヤー上で使うブラシ。

旧水彩のように追加したストロークが乾いていない部分に溶けるのでなく、1 ストロークずつで完結する。円形の描点のブラシで水彩境界あり・ぼかしなしの設定にすると、なんともガサガサした縁取りができてしまう。しかし、ぼかしは「薄い色を追加して周囲へぼかしを広げる」という旧水彩ではできなかったこともやっているようだ。

デジタル水彩ブラシついては、 【 アトリエどどど 】【 Painter 8 レビュー (2) デジタル水彩の特徴と不具合 】【 梅の実 】【 Painter 8 試用版 】 で詳しく解説されています。【 Charako House 】 にも 【 Painter 8 デジタル水彩 】 の実例ページがあります。

Mixer という絵具パレットが追加になった。たくさんの色を適当に置いておくには便利。ブラシで色を置いて混ぜたあと、Mixer でスポイトに持ち替えておく。パレットの状態はファイルとして保存できるし、読み込みもできる。Mixer 内で「手のひらツール」に持替えてずらすと、じつはこの Mixer はとても広いです(800 x 800 ピクセル)。また、Mixer からカラーセット生成もできます。

Tracker という使用ブラシ履歴のリストが追加になり、決まったブラシの中での持替えではカスタムパレットを多少補っている。Tracker では同じバリアントでもサイズ以外の設定を変えるたびに登録され、それぞれを選ぶことでバリアントがそのときの設定に戻る。履歴からいらないものを消すのはやりにくい。

メニューに Layers の項目が追加になり、レイヤー関係はここにまとめられた。

ズームアウト時の「領域を平均化して描画」はやっぱり機能していない。うちの Windows 環境では Painter 6 で「領域を平均化」をオンにするとかえってシミだらけみたいな結果になっていたが、Painter 7 からここはオンでもオフでも同じ。しかし Painter 6 の「オフ」よりはわずかに線画の補完があるようにも見える。

いいところ・悪いところのまとめ

良くなったと思える点 の数はうれしさの程度。

  • マジックワンドで選択範囲を自由に追加していけるようになった。★★★
  • レイヤーとチャンネルのリストににサムネイルがついた。(でも、サムネイル回りにバグたくさん。) ★★★
  • レイヤーマスクに Photoshop と互換性ができた。★★
  • パレット類を自由に結合・配置できるようになった。レイヤーのリストを縦に長くすることもできる。★★★
  • Painter 7 と Windows XP の組み合わせで出ていた(Windows 2000 でも多少あった)、ストロークの描き出しの描画遅延がなくなった。★★★
  • ブラシクリエイターのストロークのプレビューはわかりやすい。ランダマイザーとかはちょっと面白い。
  • Painter 6 と 7 で悪評が高かった、なにかとズームが 10000 倍になるバグが取れた。
  • Windows 版で Ctrl + Tab でのドキュメント切替えが可能に。(でも Ctrl + M での最大化でアプリケーションウィンドウまで最大化するバグが混入。)
  • ブラシのプロパティバーで、アイコンのクリックでバリアントのリセットができるのが簡単。虫眼鏡ツールのときはアイコンクリックで等倍。
  • 英語版でも日本語のレイヤー名が文字化けしないし、日本語テキスト(横書き)の使用も可能。★★
  • RGB Color のセクションが Color Info になり、HSV で色を指定できるようになった。同じ色相での微調整が可能。
  • HTML ヘルプの他に、ユーザーガイドと同じ内容の PDF ファイルが添付されている。(Painter 7 には PDF ファイルがなかった。)
  • 複数のタブレットペンの区別をきちんとして、それぞれのペンが何を選択しているのかが記憶されるようになった。(本来、これがあるべき動作だったと思われる。以前のマニュアルでもこういう動作が言及されていたはず。) すなわち、Pen 1 で鉛筆で緑色で描いていて、Pen 2 に持ち替えてエアブラシで赤で描き、その後 Pen 1 に持ち替えると自動的に鉛筆と緑色が選択される。で、また Pen 2 に持ち替えると赤のエアブラシ。★★
  • Painter 7 で搭載された「新水彩」の Capillary Factor 設定のバグが取れたので、新水彩が使える道具になった。(以前は裏技的なことをしないと 0.0 のつるつるか 1.0 のザラザラでしか描けなかった。) ★★

そりゃないよ(改悪!)と思う点 の数はショック度。

  • 8.1e で修正ずみ カスタムパレットがなくなった !!! ★★★★★
  • 絵を描きながらブラシのカスタマイズをするのが不可能。★★★★
  • ブラシのカーソルがダサいブラシのアイコンに。KidPix とちゃうで。★★★
    これが耐えがたいかたは、このページを読んでみてください。 ⇒
  • Windows 版では、インストール関連のデータ管理に少し変更があったもよう。
  • 「環境設定」−「インターフェース」の設定がなくなった。(パレットの背景色やパターンなど。)

(このへんは何か気がついたら追加していきます。)

その他

Corel の Painter 8 Q&A ページに、「以前の開発者はかかわっていますか」の答えとして、「John Derry がかかわっています」と書いてあるけど、Painter における John Derry の位置ってよくわかりません。Painter 1 当時にはまだ参加していなかったようですし、絵描きでもなくプログラマでもなく、という感じ。サンプルスクリプトの絵を描いてるけど、あれって……。ともかくやっぱり Painter は Mark Zimmer のものであった、という印象です。資産としてのアルゴリズム関係を生かしてソースを新しく書き直し、バグを取って、全体のバランスも調整して……、とまでやって、やっと Zimmer 後の Painter として一人前になるんじゃないでしょうか。

Painter 8 については、【 アトリエどどど 】【 Painter 8 レビュー 】【 梅の実 】【 Painter 8 試用版 】 も合わせて参考にしてください。

(Last Modified: 2003/07/22)

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